骨粗鬆症の記事に出てくる医学用語を、やさしい言葉でまとめました。気になる言葉があれば、ここで確認してみてください。五十音順に並べています。
この用語集は一般的な医学情報の提供を目的としており、特定の診断・治療を推奨するものではありません。気になることがあれば、主治医にご相談ください。
あ行
アバロパラチド
骨をつくる力を高めるお薬(骨形成促進薬)のひとつ。テリパラチドと同じ仲間ですが、より新しいお薬です。2025年版ガイドラインでエビデンスA評価を受けています。→ 治療の全体像
アレンドロネート
ビスフォスフォネート系のお薬のひとつ。20年以上の使用実績があり、もっとも長く使われてきた骨粗鬆症治療薬です。飲み薬として処方されます。→ 治療の全体像
エストロゲン(女性ホルモン)
卵巣から分泌されるホルモンで、骨を守る「盾」のような役割を果たしています。閉経によりエストロゲンが減少すると、骨が壊されるスピードが速くなり、骨粗鬆症のリスクが高まります。→ 女性ホルモンと骨の深い関係
エビデンス
「科学的な根拠」のこと。お薬や治療法の効果が、どのくらい信頼できる研究で確認されているかを示します。ガイドラインでは A(質の高い研究で確認)から D(十分な研究がまだ少ない)まで4段階で評価されています。→ ガイドライン2025
エルデカルシトール(活性型ビタミンD3)
腸からのカルシウム吸収を助けるお薬です。骨密度の維持に役立つとされています。ビスフォスフォネートなどと一緒に使われることもあります。
オステオカルシン
骨の中にあるタンパク質で、カルシウムをつかまえて骨の材料にくっつける「接着剤」のような働きをします。ビタミンKの助けがないと、本来の力を発揮できません。→ 納豆パワー
か行
顎骨壊死(がっこつえし)
ビスフォスフォネートやデノスマブなどの骨吸収抑制薬を使用中に、まれに顎の骨に問題が起きることがあります。とくに抜歯のときにリスクが高まるとされています。日頃のお口のケアと定期的な歯科検診が予防に大切です。→ 骨吸収抑制薬のまれな副作用
ガイドライン
専門家が最新の研究をまとめた「治療の道しるべ」。2025年版は日本骨粗鬆症学会と日本骨代謝学会が作成し、42のクリニカルクエスチョンに答える形で構成されています。医師が治療方針を考えるときの参考書のようなものです。→ ガイドライン2025
休薬(きゅうやく)
一定期間お薬を使った後、お薬を一時的にお休みすること。ビスフォスフォネートでは骨折リスクが低い場合に検討されることがありますが、デノスマブやテリパラチドには休薬の概念はありません。自己判断での中断は危険です。
クリニカルクエスチョン(CQ)
「この治療は本当に効くのか?」といった臨床上の疑問のこと。2025年版ガイドラインでは42のCQに対して、エビデンスの強さと専門医の合意率で答えが示されています。→ ガイドライン2025
骨吸収(こつきゅうしゅう)
古くなった骨が壊されること。破骨細胞が担当しています。骨吸収のスピードが骨形成(骨をつくること)よりも速くなると、骨がスカスカになっていきます。→ 骨は生きている
骨吸収抑制薬(こつきゅうしゅうよくせいやく)
骨が壊されるスピードを抑えるお薬の総称。ビスフォスフォネート、デノスマブ、SERMなどが含まれます。逐次療法では「守る」役割を担います。→ 治療の全体像
骨芽細胞(こつがさいぼう)
新しい骨をつくる「建設チーム」の細胞。コラーゲンの土台をつくり、その上にカルシウムを沈着させて骨を強くします。→ 骨は生きている
骨形成(こつけいせい)
新しい骨がつくられること。骨芽細胞が担当しています。骨形成と骨吸収のバランスが骨の健康を左右します。→ 骨は生きている
骨形成促進薬(こつけいせいそくしんやく)
骨をつくる力を高めるお薬の総称。テリパラチド、アバロパラチド、ロモソズマブなどが含まれます。骨折リスクの高い方や骨密度が大きく低い方に使われることがあります。→ 治療の全体像
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)
骨の量が減り、骨の質が低下して、骨折しやすくなった状態のこと。痛みなどの自覚症状がないまま進行するため「静かな病気」と呼ばれています。日本には推計1,280万人以上の患者さんがいるとされています。→ 骨粗鬆症とは
骨密度(こつみつど)
骨の中にどれくらいカルシウムなどのミネラルが詰まっているかを示す値。骨密度検査(DEXA検査)で測定し、Tスコアや YAM値で表されます。→ 骨密度検査(DEXA)のすべて
骨リモデリング
古い骨を壊して(骨吸収)、新しい骨をつくる(骨形成)サイクルのこと。骨は常に少しずつ入れ替わっており、海綿骨では約3〜4年、骨全体ではおよそ10年かけて入れ替わるとされています。→ 骨は生きている
骨量減少(こつりょうげんしょう)
骨密度が正常と骨粗鬆症の間にある状態。Tスコアでは −1.0〜−2.5 の範囲です。骨減少症とも呼ばれます。この段階で生活習慣の改善を始めることが大切です。
コラーゲン
骨の体積の約50%を占めるタンパク質。骨の「鉄筋」にあたる部分で、ここにカルシウムが沈着して骨が強くなります。→ タンパク質と骨
さ行
SERM(サーム)
選択的エストロゲン受容体モジュレーターの略。骨に対してはエストロゲンに似た働きをし、骨が壊されるのを抑えます。閉経後の女性に処方されることがあるお薬です。
サルコペニア
加齢に伴って筋肉の量や力が低下した状態。筋力が落ちると転倒しやすくなり、骨折のリスクも高まります。骨と筋肉は密接に関係しています。→ タンパク質と骨
逐次療法(ちくじりょうほう)
お薬を計画的に順番に使い分ける治療法。「まず骨をつくる薬(骨形成促進薬)で骨を建て、次に骨を守る薬(骨吸収抑制薬)で維持する」という「建ててから守る」順番が効果的とされています。→ ガイドライン2025
た行
大腿骨近位部骨折(だいたいこつきんいぶこっせつ)
太ももの付け根(足のつけ根)の骨折。骨粗鬆症による骨折の中でも、特に生活への影響が大きいとされています。手術が必要になることが多く、寝たきりの原因にもなります。→ 骨粗鬆症とは
Tスコア(ティースコア)
骨密度検査(DEXA検査)の結果を、若い健康な人の骨密度と比較して表した数値。0が若い人の平均で、マイナスが大きいほど骨密度が低いことを示します。−2.5以下で骨粗鬆症と診断されます(主に閉経後の女性と50歳以上の男性に適用)。→ 骨密度検査(DEXA)のすべて
骨密度検査(DEXA検査・デキサけんさ)
「二重エネルギーX線吸収測定法」の略。2種類の弱いX線を使って骨密度を測る検査で、痛みはなく数分で終わります。腰椎と大腿骨近位部を測定するのが標準です。骨粗鬆症の診断にもっとも信頼されている検査法です。→ 骨密度検査(DEXA)のすべて
デノスマブ(プラリア)
6か月に1回の皮下注射で骨を守るお薬。骨を壊す破骨細胞の働きを強力に抑えます。自己判断で中断すると骨密度が急激に低下するリスクがあるため、必ず主治医の指示に従ってください。→ デノスマブについて
テリパラチド
骨をつくる力を高めるお薬(骨形成促進薬)。毎日または毎週の自己注射で使います。使用できる期間は原則として最長24か月です。→ テリパラチドについて、自己注射ガイド
な行
納豆ベルト
東日本(関東・東北)で納豆の消費量が多く、大腿骨骨折の発生率が低いという疫学的な傾向を指す言葉。納豆に含まれるビタミンK2(MK-7)が骨の健康に良い影響を与えている可能性が研究されています。→ 納豆パワー
は行
破骨細胞(はこつさいぼう)
古くなった骨を壊す「解体チーム」の細胞。骨リモデリングの過程で、骨芽細胞とバランスをとりながら骨を入れ替えています。このバランスが崩れると骨粗鬆症になります。→ 骨は生きている
ハイドロキシアパタイト
カルシウムとリンからなる結晶で、骨の硬さのもとになる成分。コラーゲンの土台の上にハイドロキシアパタイトが沈着して、硬く丈夫な骨がつくられます。
ビスフォスフォネート
骨が壊されるのを抑えるお薬の代表的なグループ。アレンドロネート、リセドロネート、ゾレドロン酸などがあります。飲み薬の場合は、起床後すぐ・コップ1杯の水で・服用後30分は横にならない、という飲み方のルールがあります。→ 治療の全体像、薬と食事のルール
ビタミンD
カルシウムの吸収を助けるビタミン。日光を浴びることで皮膚でつくられますが、日本人の多くは不足しているとされています。食事やサプリメントでの補給が推奨されており、目安は800〜1000IU/日です。→ ビタミンDと太陽
ビタミンK2(MK-7)
骨の中のオステオカルシンを活性化し、カルシウムを骨に定着させる働きがあるビタミン。納豆に特に多く含まれ(1パックで約500μg以上)、体内で約72時間持続します。ワルファリン服用中の方は摂取を避けてください。→ 納豆パワー
FRAX®(フラックス)
WHO(世界保健機関)が開発した骨折リスク評価ツール。年齢、性別、体重、骨折歴、家族歴などから、今後10年間の骨折リスクを計算します。日本版もあり、治療開始の判断材料のひとつとして使われています。→ リスクチェック
ま行
目標達成型治療(もくひょうたっせいがたちりょう)
「Tスコアを −2.5 より上まで改善する」など、具体的な骨密度の目標を設定して治療する考え方。2025年版ガイドラインで新たに紹介されました。定期的な骨密度検査(DEXA検査)で進み具合を確認しながら治療を続けます。→ ガイドライン2025
や行
YAM値(ヤムち)
Young Adult Mean の略。若い健康な人の骨密度の平均値を100%として、あなたの骨密度が何%かを示す値です。日本の検査結果でよく使われます。80%以上が正常、70%以下で骨粗鬆症と診断される目安です。→ 骨密度検査(DEXA)のすべて
ら行
リセドロネート
ビスフォスフォネート系のお薬のひとつ。飲み薬として広く処方されています。アレンドロネートと並んで、もっとも使用実績の長い骨粗鬆症治療薬です。
ロコモティブシンドローム(ロコモ)
骨・関節・筋肉など運動器の障害により、立ったり歩いたりする機能が低下した状態。骨粗鬆症はロコモの原因のひとつです。→ 転倒予防
ロモソズマブ(イベニティ)
骨をつくる力を高めながら、同時に骨が壊されるのも抑える「二重の作用」を持つお薬。月に1回の注射で使います。過去1年以内に心筋梗塞や脳卒中を起こされた方は使用が慎重になります。→ 治療の全体像
わ行
ワルファリン(ワーファリン)
心房細動や血栓症の治療で使われる「血液をサラサラにするお薬」。ビタミンKの働きを抑えることで効果を発揮するため、ワルファリン服用中は納豆やビタミンK2サプリメントを避ける必要があります。→ 納豆パワー
この用語集は、当サイトの記事を読む際の参考としてお使いください。医学用語の解釈に迷われた場合は、主治医にご確認いただくのが一番確かです。